鈴木健『なめらかな社会とその敵』
来たるべき300年後の社会を実行可能な形で構想した画期的試論、ついに文庫化! 複雑な社会を複雑なままで生きるにはどうすればよいのか――。これが本書の中心にある問いだ。生命の起源から説き起こし、細胞の膜と核の問題が社会制度と地続きであることが、最初に示される。社会の〈なめらかさ〉とは、膜の機能を弱め、諸物が連続的なつながりをなすネットワークへと開いていくことにほかならない。それは、情報技術の支援の下、貨幣・投票・法・軍事というコアシステムの変革によって実現される。近代のメジャーバージョンアップだ。巻末には、原著刊行後に顕在化した問題を俯瞰する新論考を付し、本書の現代性と可能性をあらためて照射する。
書籍情報
文庫判 448ページ
ISBN 978-4-480-51120-1
Cコード C0130
初版年月日 2022年10月11日
カバーデザイン 田中良治(セミトランスペアレント・デザイン)
カバー写真 杉本博司《カリブ海、ジャマイカ》1980年
著者ポートレート 新津保建秀
宇沢国際学館主催「なめらかな社会と社会的共通資本」にて森田真生氏(独立研究者)と対談致します
日時: 2024年11月12日(火) 14:00~17:00
場所: 法然院(京都市左京区鹿ケ谷御所ノ段町30番地)/オンラインのハイブリッド ※アーカイブ配信はございません
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「敵はあなたかもしれない」
成田悠輔(経済学者・データ科学者)
(『なめらかな社会とその敵』文庫版帯コメント)
「ジョン・レノンは『境界のない世界』を夢想できただけだったが、鈴木健は科学によってそれを現実的に構築する方法を模索する。複雑性の思想から生み出されたいまもっとも可能性豊かな世界像」
中沢新一(思想家・人類学者)
(『なめらかな社会とその敵』単行本帯コメント)
「インターネットがもたらす社会の生態学的進化をともに生き/造る若い世代の知的ネットワークの主要ノードである鈴木健。その彼が、社会科学の伝統的なストーリーを書き換え、実践的な意味を問う、刺激的で、おおいなる可能性をはらんだ試み」
青木昌彦(スタンフォード大学名誉教授・経済学者)
(『なめらかな社会とその敵』単行本帯コメント)
「久しぶりに野心的な本を読んだ。若い世代がこういう本を書く時代まで生きたのは、年寄り冥利に尽きるというべきか」「ヒトが生きものであることはあまりに当然だが、それを現実に応用できる思考は決して当り前ではない。現代社会に問題を感じている人のすべてに勧めたい本である」
養老孟司(東京大学名誉教授・解剖学者)
(毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊)
「社会制度を構築しなおそうという「情報建築」のたくらみの必然的な帰結として、著者は自然そのものが情報で建築しなおされる未来を夢想する。ここにきて私たちは、情報建築家鈴木健のうちに、未来の「自然建築家」の姿を見出すに至るのである。」
森田真生(独立研究者)
(『なめらかな社会とその敵』生命の起源から、300年後の未来を構想する)
「私もまた鈴木さんとは違うしかたで、「矛盾したものを矛盾したまま共生させるための原理論とその技法」についてひさしく考えてきた。そして、この本を読んで、自分とは違う声が、まるで自分自身の声のように間近から聴こえてきたことに驚愕したのである」
内田樹(思想家・武道家)
「鈴木健が『なめらかな社会とその敵』で提示している新しい民主主義は、ぼくに「ぷよぷよ」の連鎖をイメージさせる。連鎖が自然に起こるようなシステムで社会を作るとどうなるのか。ぷよぷよと違うところは、繋がると消えるのではなく、繋がることが未来の価値を生み出すことだ。「おもしろい」という言葉は、目の前がぱっと明るくなる状態を語源に持つと聞いたことがある。だとすると、『なめらかな社会とその敵』は最高におもしろい本だ。圧倒され、考え続けさせられる」
米光一成(ゲームクリエーター・『ぷよぷよ』シリーズ作者)
「『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。だが古代人たる評者にも、その意気込みはわかる。まったく新しい通貨システム! しかもお金の意味すら変え、社会自体の変革まで射程に入れる遠大さだ」
山形浩生(翻訳家)